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忠信利平

忠信利平  「弁天娘女男白浪」

鬘: 「袋付き むしり 御家人髷」

衣装: 「雲に竜の友禅」

顔:襟を少し塗るくらいの顔の色。とのこを混ぜる
  目はりは茶墨で強く入れる
  眉はシャープに力強く 眉尻に山をつける

小道具:赤星十三郎と同じ


 五人男の忠信利平です。今回は稲瀬川のみとなります。

忠信の出は、傘を前に突き出しいいところまで出て(弁天が見得をしたところまで)傘をあげ、右手で懐手をしての決まり。その後七三あたりまできたらドブの方を向き左肩に傘を担ぎます、忠信は二番目なので右肩のところに「ら」を持ってきます。本舞台にきたら一個ずれて「浪」です。

本舞台にきての居所は、舞台の真ん中でいいのでとてもわかりやすいです。
つらねのセリフは
 全体的に運び気味に そしてセリフとセリフの間の息をしっかり吸うことが大事です。

忠信のキャラ的には駄右衛門と南郷の間を行くようないろになればいいのかなと思います。世話でもなく大時代でもないところです。

つらねの最後の決まりは、「お名前騙りの」らへんで傘を左手に持ち替えて、「忠信」で懐手をたっぷりとし「利平」でみえとなります。

最後の「その名も轟く雷の〜」は傘をすぼめた後、右手で石突きを上から持ちます。
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曽我五郎(対面)

曽我五郎時致  「壽曽我対面」

衣装:赤縮緬白の二引き わたえりの着付
   浅葱精好の蝶長裃

鬘:油付き 油込み前髪の松の木 箱鬢 生締

顔:むきみ
  紅はシャープ目に
  眉は眉頭から眉尻にかけて一本すっと通す

小道具:島台(宝尽くし)印籠(揚羽蝶の蒔絵)右手(萌葱朱ぐり鐺付き)


  
まずは朝比奈に呼び出され揚幕より十郎とともに「かしこまって ござります」と答えます。
ここから黒御簾より対面三重がかかります。

 チチンチンチンチンチンチンツーン とかかって十郎の出。もう一回同じように弾いた後に
 チチンチンツンが二回かかっての五郎の出です。
勢いよくでてきて花道の見返りあたりで右手を左の袂に添えて チーン チーン チーンの音に合わせて足を箱に割ります。右足よりじりじり左足じりじり、両足じりじりと体を戻します。ここまで常に工藤を睨みます。じりじりする時は、右足なら右の脇腹をくっつけるようなイメージで。また勢いよく歩き出します。
 前を行く十郎を左後ろから押しのけて前へ出て、
 左足を工藤の方へ勢いよく出します
 右手を開き右の脇の下に差し入れ
 上体をぐっと前に突き出します。
 抑えようとする十郎と入れ替わり
 十郎の右手に自分のお腹を持っていきます、改めて右手は右脇の下です。
ここまでの一連の動きでまず大事なのは、一つ一つの動きをしっかり運ぶことです、勢いに任せて動きが流れてしまうともったいないです。まず足を決めて上半身の形を決めてそして体をぐっと押し出す。焦ると形も汚くなんだか訳が分からなくなります。 
 全体的に言えることですが、体は腰から動かすことを意識します、腰でぐるっと円を描いて前に突き出すような、大きく動こうとして手先腕先に気をとられるとかえって小さく見えてしまいます。なかなか普段使わない部位なので難しいのですが、体は下から工藤に向かって突き上げるように少し見上げるように顎もあげます、
 十郎の右手にお腹を持ってくる形では、幕切れも含めるならこの狂言で都合7回も出てくるおきまりの形です。体を持って行く時に大事なのは、十郎が居所に着くのをしっかり見てからそのいい場所に持っていきます、お互い形になったらもう変に動けないので、五郎が合わせます。十郎と入れ替わった時にほんの一間待つといいです。
 ツーンテテンテンテンがここで三回かかりますが、このツーンに合わせて体を押します、戻されて十郎と顔をみて向こうが首を振るのを遮るように大きく首を振ります、もう一度押して戻されて首を振り、さらにもう一度押して戻されて十郎と見合い頷きあいます。
 工藤を睨みながら二歩ほど揚幕の方に移動します。十郎から離れるときに左足を一歩引くことによって島台が十郎の頭にぶつかりません、十郎の頭上を通すのは危険なので、外に大きく回します。
 島台を床に置いて、「テチチリチツツーツーン、チレツン」この最後のツンに合わせてどかっと座り、でーっけぇで見得をします。

 「いそいでこれへのたくりつでろえぇえ」といわれて立ち上がりながら「めいりますべい、めいりますべーい」とまたいつもの形となります。「がってんだ」で岩戸神楽の合方となります。こんどは一度押して戻されて首を振り、また押して戻されて見合ってうなづきあいます。島台をとりまずは足を箱に割りまたじりじりをして本舞台へと歩き出します。先ほどの花道と同じやり取りがあってからいつもの形でまたでーっけぇに合わせての見得。こんどは音が素になってから一度押し戻しがあって頷きあいます。わたしは十郎とうなずきあった後は全て工藤の方をキッと睨みながら戻りました、工藤に向けてのエネルギーが中途半端に切れないようにです。
 
工藤に「河津の三郎祐康に」といわれたら十郎と顔を見合わせて、「なんと」。そこから肥前節となり台詞のやり取り。それが終わってからの少将の「北条さんの烏帽子にて」を受けての
 「曽我の五郎」で右足を踏み出します、わたしはここで立ち上がっていますが、ここではあくまで腰掛けながらの見得であり、そのつもりでいます。実際に立ち上がらない人もいます。
 「はて珍しき」でふと工藤と顔を見合わせて、正面に戻してからの全員で「たいめんじゃなぁ」五郎はこの台詞を言い終わらないうちに裃の両肌を脱ぎ「祐経観念」といつもの形で喰ってかかります。朝比奈にも止められて、一度押して戻されてまずは十郎とうなづきあい、次に朝比奈に袂を引っ張られるので朝比奈とうなづきあいます。戻りながら裃のベロの部分を袴のなかに手を突っ込み持ちます。座ってから下に引っ張ります、割と思い切り引っ張らないと巻き取れません。ちゃんと引けば脱いだ裃が背中にくっつくはずです。それが済んだら両手を握り懐から少し出しておきます。この時に着付けをすこしふかしておくことでこの後の肌脱ぎがしやすくなります。この形になったら後見がうしろから襦袢のつけ襟を外します。
 
 工藤によばれ「いただきますべぇ」と懐から手を出しいつものかたちで喰ってかかります、「合点だ」でまた押して戻してうなづきあい、大きく二歩ほど離れながら襦袢を持ち込みつつ懐から手を出します、ここではまだ正面を向いてます。こちらが懐から手が出たら十郎と向き合います、お互い息を合わせて右足から一歩出し入れ替わり、
右足をおおきく踏み出し
両肌を脱いで
右手を左手の下に入れて、ぐっと下に腰を落とします
そして腰で円を描くようなつもりで、ドロンと工藤を見上げます。

五郎の一番の見せ場の詰め寄りの形です。おおきくじりじりとつめよりながら台詞を言います。
「今日はいかなる吉日にて日頃」は一息でいければいいのですが、わたしの場合聞き苦しくなってしまうので、いかなるで一度息継ぎをしています。「日頃」から両足でじりじりと最後はつま先もあげ体を起こしていきます。そのエネルギーを途切れさせないようにこんどは左足をうしろに下げ裏側から工藤を見上げます。この時袴の裾がうしろに捌けるのがいい形です。「えてえみてえと神」で息継ぎ「仏をせがんだけえあって」の小さいっで少し息継ぎしています。また伸びてからの右足を引きドロン
「おうはうどんげの 花待ちえたる今日の対面 三ケの荘の福はうち 鬼も」このスペースを空けたところで息継ぎしてます、ちょっと多すぎですね、うどんげのの息継ぎを無くしたいですね。
最後にもう一度ひいて「十八年来の今吹きけえす天つ風」ここでからだは完全に前を向けてしまいます。「盃頂戴」で三方みて「つかまつるで」で右左と足をすっすっとだし三方の前に行きます。左膝右膝をつき左手右手を腿におきます、ここをトン!トン!トン!トン!と間よくはこび「ござろう」と工藤のほうを見るつもりで言います。

 盃のくだり。
まずは左手で三方を掴み少し遠いようなら引き寄せます、
右手をまず高くかかげゆっくりと土器まで持っていきます
土器をつかんだ瞬間右足を真横に踏み出します
土器を右後方くらいに勢いよく出します
そしてドロンと工藤を見上げます。

 工藤との高低差が欲しいので上体はなるべく低く、左脇を縮めるように、出したみぎてはなるべく高くかかげます、この時に土器がまっすぐになるように。
 お酒が注ぎ終わると少将が土器を押してくれるので、それを合図に口元までゆっくりと持っていきます。飲む直前で床に叩き付けます、この時右足を引きつけ袴の裾に落とすように割るのがベストです。真横より少しうしろくらいで割る方が客席に飛ばず安心です。
 割った後は三方を両手で握ります、ここで三方の両端を指でちぎっておきます、「およばぬことだ、叶わぬことだ」と言われたら真上から三方を押しつぶします、うまくいけば両手に切れ端を持っています。三方を壊したら工藤にかかるのを止められていつもの形で決まり。

 鬼王が出てきたら花道をみつつ一歩下手に移ります。検分がおわるまで友切丸を注視します。その後切手を十郎から左手で受け取り、「さらば」の前に工藤と見合います。
 片しゃぎりになったら十郎を押しのけて切手を工藤に突きつけ、また十郎と入れ替わり裏向きになり、工藤のふっにあわせ見合い表を向きます、ここでも十郎を先に向かせてからこちらが合わせます、切手を下ろすのをきっかけに柝が入り幕。

千葉の半次郎

千葉の半次郎 「梅ごよみ」

頭:油付き ふかし鬢 みより
  後ににさらしのほっかむり

衣装:松河菱の着流し 

小道具:ねずの鼻緒の雪駄 脇差(勝色の柄)


2月大歌舞伎は夜の部「梅ごよみ」に千葉の半次郎役で出演していました。


 役どころは、盗まれたお家の重宝「残月の茶入れ」の詮議のために丹次郎のもとで厄介になっている若侍です。

 
 出番は二幕目の丹次郎の家から板付です。ここは家で一人で句作に興じています。歌を詠む時の工夫ですが、これは書いている時間よりも考えている時間の方が長いものだそうです。実際に本にはあらかじめ歌がいくつか書いてあり、私はそれをなぞるふりをしているのですが、ただ全部なぞってしまうとお習字の稽古みたいになってしまうので、上の句を書いて一旦考える、といった具合に間を持つと、歌を詠んでいるように見えるのではないでしょうか。それと向きも机に対してまっすぐ向いていると、やはりこれも勉強していますみたいになってしまうので、そとの風景を見るつもりで、はすを向きました。

 とどありまして船頭と太鼓持ちが引っ込んだ後、私も道具屋に行くために家を出ることになります。この時「私はちょっと、行かねばらなぬところがある。」というセリフがあるのですが...どうもここで客席から笑いがおきてしまうのが前半の悩みでした。察するに半次郎も先の船頭達と同じく、丹次郎お蝶に気を使って、そそくさ出て行くみたいにお客様にとられているのかなと思います。どうしたものかなと色々考えた結果、「私はちょっと」のちょっとを抜くことで幾分緩和されました。なんでもないことのようですがこういった一言でお客様の反応が変わるのだという、貴重な経験となりました。

 

 このお役には二通りのアプローチを考えまして、一つは伊勢音頭の万次郎のような頼りない坊ちゃんでいくのか、しっかり者の武士でいくのか。
 向き不向きもあるですが、個人的には左文太を討っているということを考慮して今回は後者のやり方でつとめてみました。

 名前がややこしいとのクレームがとても多かったです。
(謎の次郎率の高さ)

宮下久右衛門

宮下久右衛門   「ぢいさんばあさん」

鬘:元禄の武士

衣装:着付け 袴

小道具:さらし 小刀(黒柄)

顔: 綺麗なとのこの顔 えりは塗る
   めはりは茄子紺
   若侍の顔


10月名古屋顔見世興行では、ぢいさんばあさんの宮下久右衛門役をつとめました。

 役どころは伊織の妻るんの弟であり、物語が始まる前におかしてしまった喧嘩がもとで、姉夫婦に多大な迷惑をかけてしまうお役です。
 この作品はが新作歌舞伎でいわゆる”かた”のない物であり、またどなたにもこのお役を習ったわけではないので、正しいか間違っているかは抜きにして、一月つとめて思ったこと考えたことを、記していきたいと思います。

 まず幕が開いて、るんと久右衛門板付。居所は横が白緑の端のあたり、縦はるんと並んだ位値で。久右衛門はこのうちにまだ来てすぐといったところでしょうか、無言の姉に対してしびれを切らして謝罪の言葉を言うのが、このお芝居の第一声です。
 基本的にこのお役はただひたすらに謝っているお役です。なので同じトーンで謝ってもつまらないので、謝り方にも段階をつけることにしました。それと同時にこのお役の腹や心根を考えます。
 見ての通り怪我をしていることから、粗忽で喧嘩っ早い、劇中で何度も言われているように短慮な人物であることが伺えます。最初のうちはまだ自分のしでかしてしまったことの重さがわかってないように取れる言動もあります。
 例えば姉に少し反論してみたり、「兄さんに早く会ってお礼が言いたい」といったセリフです。私個人の場合ですが本当にすまないことをしてしまった時、謝らなければならないという強い想いと同時に、逃げ出したいような焦燥感に駆られるものです。ところが今述べたような反応をするということは、
姉さんの小言を聞くのが面倒臭い
義兄さんなら許してくれるだろう
といった甘えの、悪く言えば舐めている久右衛門のスタンスがあります。ただこれは久右衛門の全部ではなく基本的にはまずいことをしたなとは思っています。

 そこからはやはり坊や、(彼からすれば甥ですが)の顔を見てハッと自分のしてしまった過ちに気づきます。ここがこのお役の中では一番ギアを上げるところであると思っています。先ほどまでの甘えた考えはすべて吹き飛び、胸中は罪悪感で一杯となります。  
 良くも悪くも直情的で思い立つとすぐに感情が振り切れてしまう、ありていにいえば若者らしい青年なのです。この後下嶋にも先ほどまでの姉の言葉を忘れて食ってかかろうとするのも久右衛門らしいところであるといえます。
 下嶋が縁側に腰掛けている時は、るんと下嶋のあいだらへんに座るようにします。

「このご恩は生涯忘却いたしません」というセリフは二回ありますが、姉さんにいう時と伊織にいう時とでは久右衛門の想いがすっかり変わってしまったので、セリフに込める熱量も変えていかなければ面白くありません。一回目の方は結構さらっと言っていました。
このセリフは結果的にその後の宮下久弥に受け継がれていくことになるので、個人的に大事にしていたセリフでした。

そしてもう一つ「短慮は身を滅ぼす腹切刀」このセリフは実は次の場面の伊織自身に返ってくるセリフ、伏線でもある大事な言葉なのでしっかりとたてて言います。

最後の引っ込みは照れ笑いで湿っぽくならないように、あっけらかんと笑って引っ込みます。笑って引っ込まない場合もあります。


 
久右衛門は25歳と私の年齢と近い等身大のお役であるので、あまり難しいことは考えずに自分の持っている若さをぶつけていきました。
役柄として決して汚い役ではありませんが、久弥ほど綺麗になってしまわない方が面白いと思います。


牛若丸(橋弁慶)

牛若丸  「橋弁慶」

鬘:鉢割れ 能茶筅

衣装:笹竜胆の着付けに大口 長絹

小道具:太刀 かつぎ 

顔:生白粉二杯の綺麗な童子の顔
  目はりに墨は入れない


 先月は金山にて橋弁慶の牛若丸をつとめました。

橋弁慶は弁慶と牛若丸の五条橋での戦いを描いた踊りです。

 まずかつぎを体にかけその上から左手に太刀を持ちます。この時太刀はなるべくまっすぐ持ちます。
最初は揚幕からの出、「さても牛若は〜」の唄いだしががきっかけです。そこから「開けなば寺へのぼるべし」の唄までに七三にたどり着きます。
 そのあと本舞台にきて、鬘桶に腰掛けます。そして弁慶が出てきて、花道でいっさん踊ったあと最後に足踏みをするので、それをきっかけに鬘桶からおり片膝をついて座ります、そして座りながらかつぎを頭にかけます。この時に一回大きく後ろに広げてから持ってこないと、髷の形の関係で引っかかりやすくなっているので、気をつけなければいけません。それとかつぎを被ったら、刀の柄をかつぎの中にしまいこみ隠します。
 
 橋弁慶で一番気をつけなければならない、かつぎを放り投げるところですが、ここも先ほどと同じく一回後ろに大きく持っていきましょう、前に投げるよりも上から振り下ろすイメージの方が綺麗にかかると思います。ここの音は結構余裕があるので落ち着いて動いて大丈夫です。
 1日何の加減かかつぎに鍔がひっかかって、弁慶が長刀を振り上げると同時に刀身が持って行かれたことがありました。ですから万全を期すなら刀の鍔に親指をかけた方がいいかもしれません。
 
 

 細かい動きに関しては、その時その時で変わってくるので省くとして、全体的にはキビキビとシャープに、無駄足を使わず舞台を広く使い、そして動きが流れないようにと、基本に沿うことが大事ではないでしょうか。
 役として最も大事なのこの牛若丸がまだ「幼い子供」の役であるということです。首を大きく傾けたり、調子を上げたりとあまり強くなりすぎないことも子供っぽく見せる工夫です。

 
 
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